合気道とは
スポーツと合気道の大きな違いは、対人またはチームとの競争の中で、勝ことを目標に練習を積み重ね、勝敗にすべてが左右されるのがスポーツだとすれば、合気道は、人と争うためではなく、自分自信を深く見つめ、頭で理解するのではなく身体で体認し、さまざまな動きの関係性を感じていくのが、合気道といえるのではないかと思います。
昨今、ご自分の生活をご自身で見つめる時間がどれほどあるでしょうか?
合気道を通じて、ご自身を見つめなおし、自他ともに大切にすることを学んでいただきたいと思います。
まずは軽めの体操から初めますので、安心して体験をしていただきたいと思います。
合気道と教育
昨今、教育現場では、道徳の時間を多く取り入れ、その学習の中で、おもに人とうまくやって行けるコツを教えています。しかし、抜本的な、人とは本来どうあるべきで、自分はどう生きていけばいいのかは教えていません。
私は中学生の時、国語の先生から、読書の素晴らしさ、特に素読(意味を求めず、只声を出して読むこと。)の重要性を教えていただき、中でも「論語」の第一説「子の曰わく、学びて時にこれを習う、亦た説ばしからずや。~」を毎日ホームルーム終了後にクラスメイト皆で音読しました。その教えは、いつしか私の心に響き、今でも生きる指針となっています。
合気道は、この音読と同じなのです。はじめは運動の意味が分からず、戸惑うこともあると思います。しかし、繰り返し行うことで身体で覚え、いつしかスムーズに身体を動かすことが出来るようになるでしょう。そして、無理のない動きの中でお互いの存在意味を知り、情緒豊かな人間性が育っていきます。現在失われてしまっている情操教育が、合気道にはあります。
合気道と健康
今や毎日が健康ブームで、テレビをつければダイエット特集、健康グッツ特集、また、これを食べれば健康になる。など、毎日放送しない日はありません。
確かに現代の日本人は長生きになったと思います。80歳、90歳は当たり前、100歳まで生きる方もそんなにめずらしいことではありません。一方で、現在の成人の皆さまが感じているのは、自分は運動不足だと自覚されている方が多いと思います。「仕事が忙しくて運動どころじゃない。」という方も多いと思います。しかし、1週間の中で日を決めて、たとえ1時間でも自分の時間を作り、無理のない運動する習慣をつけると、心身ともにリフレッシュし、生活も充実してきます。
ジムやマラソンは一人で行うため、勇気と気力がないと三日坊主になってしまいがちですが、合気道はただ道場に来ればいいのです。あとは、自然と無理ない運動が出来ます。
普段の生活の中に合気道を取り入れて、身体を動かす習慣をつけていただきたいと思います。
合気道と心
現代の抱える大きな社会問題の1つに、心の風邪と言われる鬱病を患う方が大変多いと言われています。
大きな社会問題ではありますが、合気道は心にも大きな影響を与えます。まずは、身体を動かすことで、身体が充実し体力もついてきます。体力がついてくると、心も充実してきます。心が充実してくれば何か他のものにも興味が湧いて、前向きに物事を考えられるようになります。
「それが出来るくらいなら苦労はしない。」と言われるかもしれません。しかし、道場に来て少し無理のない範囲で身体を動かすことなら、どなたでも出来ると思います。
ご自身のつかんでいるものを一度手放して、新しい何かにふれてみて下さい。形にとらわれずご自身を見つめなおすことで、きっと新しい自分に出会えると思います。
合気道自在館道場 師範小林英典